第19話

まずは普通に診察。

最近の体調なんかも、やけに丁寧に聞かれたりした。


えー、ただの風邪じゃないのかなぁ。

その丁寧さが、なんだか逆に不安にさせる。


いよいよ次は、検査の結果を伝えてくれるようだ。



「…えー、森山紗織さん。既にご両親には話してあるのですが…」


…って、なに!?何かあったの?



「…あなたの脳に、特殊な腫瘍が見つかりました。進行性で、すでに転移し始めていて………」


医師の話はまだまだ続いているけど、私の思考は止まってしまった。


えっ!?なにかの聞き間違い?

脳に腫瘍って……何!?



…声を殺し、啜り泣く声が聞こえる。

後ろでお父さんとお母さんは泣いているようだ。


そんな姿は見たくないから振り返れない。


…意味が分からない。訳が分からない。どうすればいいの?どうなるの?



「あなたはまだ二十歳とお若いので………」


あぁ、そっか。若いから治りは早いとか、そういう事だよね。

私、治るんだよね?

大丈夫だよね?



「…お若いので進行が早く、このままだと余命は…持って…半年です」


喉の奥から胸にかけて、ぎゅーっと締め付けられるような感覚。

あまりの驚きと混乱で、理解ができない。涙も出ない。


『私、あと半年で死ぬの…?』


こんな時には誰もが思うんだろうけど…

夢ならすぐに覚めて欲しい。

こんな悪夢からは、今すぐ抜け出したい…。

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