第8話

「じゃあさ、こうしようよ。俺らが付き合った初デート記念ってことで行こうよ。…って、それならどう?」


「!!」



…それは私も考えていた。

なんだかシンクロしすぎて、気味が悪いよね…


…でも、すっごく嬉しい。



「それいいね。そういう事なら一緒に行ってあげるよ」



強気に答えるけど、実は嬉しさとドキドキで震えそうな声だった。

そしてチークを塗ったみたいに、私の頬は赤く染まる…。


こうなる予感は感じていたから、告白される場面は何度も思い描いていたはずなのに。

実際のその場面では、強気な発言とは裏腹に、不覚にもちょっぴりうるっと涙なんて流してしまった。



「あれあれ、紗織泣いてんの?嬉し泣き?」



ちょっとー…、あなたが言わないでよ。

こんな時はさりげなく、気付かない振りをして欲しい。



「嬉し泣きじゃないし、そもそも泣いてないし!」



『嘘だよ、しっかり泣いてるじゃん』


にやにやとしながらも覗き込む光希の顔は、そんな風に語っているかのようだった。



「違うよ、これは嬉し泣きじゃないよ。ちょっと驚いちゃっただけだよ。だから…びっくり泣き!」


…我ながら、酷い言い訳になってしまった…。

でも、そんな私を、光希はぎゅっと抱きしめてくれたんだ。

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