第7話

私の家の、私の部屋で。

二人で過ごす、何の変哲もない日常の延長だった、ある日。

いつものようにテレビはつけっぱなしで、雑誌を読んでいたその時、


『ディスティニーシーに新アトラクション登場!』


という、テーマパークのCMが流れた。


派手な効果音のCMだったせいか、それまでスマホを見ていた光希も顔を上げ、そのCMをじっと見ていた。

そしてCMが終わり、光希はこう言った。



「いいなー、行きたいなぁ。ディスティニーランドも行きたいけど、シーもいいね。新アトラクションだってさ」


…私は「そうだねー」とだけ相槌をうつ。



『一緒にいこうか』



そう出かかったその言葉は飲み込んだ。


家族や女友達と行ったことはあるが、男の人とは行ったことがない。

あの場所は男の人と二人で行くには特別な場所、そんな風に感じていた。



「なぁ紗織、今度一緒にいこっか」



光希はテレビに向かったまま、そんなことをつぶやいた。

私の目を見て言うのは恥ずかしかったのかな?

…いやいや、そんなことはないよね。考えすぎかな。



「えー、光希と二人ー?二人で行くのってどうなのー…。かといって、友達とかを誘ってみんなで…ってのも…ねぇ」



表向きは軽く拒否。


『行くなら付き合って、恋人同士として二人だけで行きたい』


実はそんな言葉の裏返し。気付くかな…?

だってやっぱり、あそこはちょっと特別な場所だもん。


CMは終わったけど、しばらくテレビを見つめて黙っていた光希。

数分後、突然くるりとこちらに向き直した。

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