第83話

「……やっと逢えた。…ずっと探してたんだ」



…それは私?それともあの子?



「俺と付き合ってくれないか?…綾音」



告白よりも…綾音って呼ばれたことに、とにかくドキッとした。

綾音って言ってくれたよ、綾音ってさ。


…なんだか心地いい。

ずっとずっと、この場面を待っていた気がする。


…でも、これってオッケーしちゃってもいいのかな?

私に告白してくれたって事でいいのかな?



「ちゃんと私を見てくれますか?夢の中の子じゃなくて、私を」


「もちろん。俺が好きなのは綾音だよ。俺からしたら、あの子も綾音も一緒だから」



うーん、伝わったようで、伝わってないような…。


でもね、でも、私もあなたが好きなんです。

誰に遠慮する必要も、我慢する意味もない。



「…はい。よろしくお願いします」



好きな人を奪い合って、出し抜いて勝ち取ったような…なんだか少し、赤黒いような高鳴る感情。



ライバルは、夢の中の女の子。


夢の中の私。



…でも選ばれたのは、ここにいる私なんだから。

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