第77話

翔瑠さんはふぅっと息を吐き、意識的に呼吸を整え、咳払いをした。

そして、ひと口だけコーヒーを飲み、いよいよ発表の時。



「か、肩のところに…」

  …ホラー映画の、よくあるワンシーン



「俺から見た左側、その子の右肩の」

  …扉の向こうから何かが来て



「やや後側って言うのかな」

  …部屋に入ってくる



「横に並んで二つ」

  …主人公はその部屋のクローゼットの中にいて



「1cmくらいの間隔をあけて」

  …隙間から見える、その異形のモノと



「ほくろがあるんだ」

  …目が合ってしまって



「左側の方が大きくて」

  …もう動けないんだ



「右が少し小さいんだ」

  ……動けないんだ



話を聞きながら浮かぶ、話とは全く関係のない場面。

心の奥、深い深い底の部分で、感情だけがリンクする。


いつか見たホラー映画の、あの場面みたいに。

…そう、そんな感じに。



お互いのドキドキ感は割と重なっていると思う。


恋するトキメキとか、告白の場面のワクワクしたようなのとか、そういうものとは種類が違うんだ。



答えは私が知っている。


さあ、答え合わせの時間が始まる。

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