第74話

「でね、その子がさ、キミにそっくりなんだよね。まぁ夢だしさ、似てるって言っても雰囲気とかっていう、感覚的で抽象的なとこがって話なんだけどさ」



その話の真偽や意図、いろいろ考えて、混乱する。



「で、そのぼんやりとしてるはずの夢の中なんだけど、覚えているその子の具体的な特徴ってのが二つあって、ひとつがそれだったんだよね。…でもさ、もし傷があったとしたって、それを見せろとか…嫌な奴だよな」



ひとつがそれ…?

まさかとは思うけど…



「…その傷って……どんな…」



うつむきながらも、なんとか絞りだすように声を出す。



「えっとねー、俺から見て、右の眉の右上あたり?こうさー、縦に二本の傷があるんだ」



……!



翔瑠さんから見て右…

視線の先は、私の左眉。


一応だけど、驚きを悟られないように、さらにそっとうつむいた。


…こんな偶然はあるんだろうか。

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