第71話

「でね、俺さ、…その夢の中の女の子に…恋してて」



おーっ!これはちょっと…痛い人なのかな…?

妄想男子、ここに現るっ!



「す、すごいですね!で、その子ってどんな感じなんですか?」


「あーうん、てかさ、どん引きしてね?…」


「まだ大丈夫です、続けてください」


「まだって…。まぁいっか。その子の事はなんとなく雰囲気くらいしか覚えてないんだけど、その子とは夢とはいえたくさん話したし、一緒にテレビを見たり、色んなとこに連れてってもらったりしてさ。夢の中では恋人同士だったりするんだよ、きっと」


「うんうん、それでそれで!?」



夢と現実の区別がつかないとか、そんな話かなぁなんて思ったけど、そうではないのかな?



「でさ、確かめたい事があるって言ったろ?」



あー、うんうん、そんな話だったよね、確か。



「何を確かめるんですか?」



あれれれーっ、まさかさー、夢の中の女の子が私だってこととかで、無理やり結びつけてくるんじゃないでしょーねー。



「ちょっとさ、見せてほしいんだよ」



うわっ!見かけによらず、ヤバい人なのかなー!?


何を見せてっていうんだろう??

人には言えないなんとかフェチとかさ…そういうのかなー?



「なっ、なにをですかっ!?」



……大丈夫、大丈夫。


なにか変なことをされそうになったって、そこには菜々香ちゃんもいるし、あっちに行けばみんながいるもん。



「あーあー、なんか言い方悪かったよな?えーっと、まぁ、あれだよ。おでこをさ、見せて欲しいんだよ」



………それを聞き、変な興奮とかドキドキは一気に熱を失って、涙が出そうになっちゃった。

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