第64話

「おーす!待った?…寒い中、悪かったね。車で迎えにってのも考えたけど、昨日今日会った仲でさ、いきなり車ってのは嫌かなーって思ったからさ」



おー、分かってるじゃないか。

きちんとしてるんだね。ポイントアーップ!



「大丈夫ですよー。ちょー着込んできましたから。まー外を出歩く訳でもないし、問題なしっ!」


「うん、よかった。あ、そうそう、今日ってクリスマスだったんだよな。予定とか…あー、あったら来ないか」



…おいおいおーい。



「まぁその通りなんですけど、はっきり言わなくても…」


「ははは!ごめんな!まぁいいや、中入ろうぜ」



それこそ何百回もくぐったこの扉なんだけど、今日はいつもと違って男の人と二人だし…勝手にクリスマスデートを妄想したりして、少し緊張してきちゃった。

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