第41話
「す、すいませんでしたぁ!」
二人組がその言葉を発すると同時に、拳を握っていた手はぱっと離された。
それから間もなく、振り返ることもなく、その二人はよろよろとしつつも足早に去っていった。
おーっ!なんだかすごい。
握っただけで追い返したよ。
この人どんだけ握力あるんだろうなぁ…。
「まぁこれで大丈夫だろう。お、ケガしてない?捻ったりして、痛いとことかはない?」
ほんの少し前とは全く違う、穏やかな表情で話しかけてきた。
「はい、大丈夫です。ありがとうございました!」
「うんうん、大丈夫ならいいんだ。とりあえず平和的な解決ができて、よかったよかった」
…え?平和的な解決??
めっちゃ武力行使していたような…。
璃咲を見ると、どうやら同じことを考えていたらしく、お互い苦笑した。
「本当にありがとうございました」
「じゃ、俺はこれで。ちょっと人集まって来ちゃったしさ。まーこれ以上関わって、下心あって助けたんだみたく思われるのも嫌だしな!」
思わないし。
むしろ、その発想が笑えたりする。
それらが冗談なのか本気なのかは分からないけど、和やかなムードになり、ほっとして落ち着いてきた時だった。
「…んん?」
あれれ?なんだろう。
男性は急に私の顔を覗きこみ、眉間にシワをよせて唸り始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます