第41話

「す、すいませんでしたぁ!」



二人組がその言葉を発すると同時に、拳を握っていた手はぱっと離された。

それから間もなく、振り返ることもなく、その二人はよろよろとしつつも足早に去っていった。


おーっ!なんだかすごい。

握っただけで追い返したよ。

この人どんだけ握力あるんだろうなぁ…。



「まぁこれで大丈夫だろう。お、ケガしてない?捻ったりして、痛いとことかはない?」



ほんの少し前とは全く違う、穏やかな表情で話しかけてきた。



「はい、大丈夫です。ありがとうございました!」


「うんうん、大丈夫ならいいんだ。とりあえず平和的な解決ができて、よかったよかった」



…え?平和的な解決??

めっちゃ武力行使していたような…。


璃咲を見ると、どうやら同じことを考えていたらしく、お互い苦笑した。



「本当にありがとうございました」


「じゃ、俺はこれで。ちょっと人集まって来ちゃったしさ。まーこれ以上関わって、下心あって助けたんだみたく思われるのも嫌だしな!」



思わないし。

むしろ、その発想が笑えたりする。


それらが冗談なのか本気なのかは分からないけど、和やかなムードになり、ほっとして落ち着いてきた時だった。



「…んん?」



あれれ?なんだろう。

男性は急に私の顔を覗きこみ、眉間にシワをよせて唸り始めた。

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