第Ⅱ章 第10話
真壁さんは私と恭哉にそう事件の概要を詳細に説明した。
「確か、佐藤家は三人子供が居た筈だろう?長男の希望は?」
恭哉は真壁さんにそう聞いた。
「それが・・・佐藤希望は、事件が起きた後から行方不明なんだ。
死体の第一発見者である笹塚碧葉さんの話では、死体は見たけれど、佐藤希望の姿は見て居ないと証言しているんだ」
真壁さんは恭哉の質問にそう答えた。
「成程・・・。そうなるとその行方不明の佐藤希望が佐藤夫妻を殺した犯人の可能性は出て来るだろうな。それに佐藤希望には両親を殺す動機があるからな」
冷静にそう返す恭哉。
「確かに恭哉のその推理の線は濃厚かも知れないね」
真壁さんはそう言った。
「真琴、悪いけど3つ程、頼んでも良いか?」
恭哉は真壁さんに質問をした。
「恭哉をここに連れて来た時点で何かお願いをされる覚悟はしていたよ。それで、何を頼みたいの?」
真壁さんは恭哉にそう聞いた。
「ありがとう。そんなに難しい事じゃない。まずは大事な事だ。今朝の段階で分かっている事を仔細に教えてくれ、どんな些細な事でも構わないから」
恭哉は真壁さんにそう尋ねた。
「了解。まず、事件の概要はもう説明したから省くよ。
まず、二人の死因からだ。死因は夫妻二人共が共通しているのが心臓まで達していた深い刺し傷が原因だ。凶器は見つかって居ない事から、まず、犯人が持ち去った可能性が高い。争った形跡も見られない事から、犯人は躊躇なく、夫妻を刺殺した可能性がある。佐々木課長と僕は、顔見知りの犯行の可能性が高いと踏んでいる。そうなると佐藤希望が犯人の可能性の有力視は高いけどね」
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