第Ⅱ章 第3話
「あれ?でも恭哉のお母さんとお姉さんの墓って、京都に有ったんじゃ?」
私は恭哉にそう聞いた。
私の記憶の中では、恭哉と結婚する前に恭哉のお母さんのお墓が京都に有る事を知っていた。
「ああ。あそこにも有るけど、親父が京都まで行けないからこっちにも墓が有るんだ。そっちは俺の家族の墓だけどな」
恭哉は準備をしながらそう言った。「そうなんだ」
私はそう答えた。
私と恭哉は支度を済ませた。家を出ると、私は久々にバイクに跨り、恭哉の運転で有る場所に向かった。バイクは、青山霊園で停まった。
「ここ?」
私は恭哉に聞いた。「ああ。ここに、俺のお母さんと姉さんが眠っているんだ」
バイクを降り、荷物をバイクに置き、青山霊園の中を歩いた。
恭哉は慣れた足取りで青山霊園の中でも静かな場所にある墓の前で足を止めた。
その墓には霧島家と書かれていた。
「来たよ、母さん、姉さん。ごめんね、何も持ってこれなくて」
恭哉はその墓に優しく語り掛けた。
恭哉は、そのまま、しゃがみ込んで、手を合わせた。私も恭哉に倣い、手を合わせた。暫くして、恭哉は立ち上がった。
「ありがとう。母さんと姉さんに手を合わせてくれて、きっと喜んでるよ」
恭哉は私にそう言った。
「あの・・・お母さんとお姉さんの事を聞いても良い?私の家族とも仲良かったんでしょ?」
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