第Ⅱ章 第2話
「おはよう、お母さん、お父さん」
準備済ませ、一階に降りて来たのは娘の綾香だった。「おはよう、綾香」
恭哉は綾香に挨拶をした。
「食べようか」
恭哉はそう言った。「うん、頂きます」
八雲はそう言った。
「頂きます」
私もそう言った。
我が家の決まりは、朝も夜と同じで、朝、どんなに忙しくても朝食は家族一緒に食べると決めている。それは夜も同じ事だ。それが我が家のルールである。
それに子供達には私も恭哉も仕事で居ない事が多いが、家に居る間は子供達に寂しい思いはさせたくないと私と恭哉、二人で考えたルールである。
「ご馳走様でした。行ってきます」
八雲はそう言った。「行ってらっしゃい、八雲、綾香。気を付けていってらっしゃい」
私はそう言い、八雲と綾香を見送った。
「じゃあ、俺達も出るか」
恭哉はそう言った。「そうね。でも、直ぐに警視庁に向かう訳じゃないんでしょ?」
私は、恭哉にそう聞いた。
「ああ。今日は母さんと姉さんの命日だからな」
恭哉は驚きの言葉を口にした。
恭哉のお母さんとお姉さんはあの残酷な通り魔殺人事件で殺された事は知っていたが、その命日が今日だとは、知らなかった。
「ごめん・・・・。そうだったんだ」
私は恭哉に謝った。
「謝らなくて良いよ。ずっと命日に墓参りも何もして来なかったからな」
恭哉は気にしないと言わんばかりにそう話した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます