第Ⅰ章 第22話
「そうだろうね。俺も初めて来た時は、優姫と同じ意見を抱いたよ。だけど、ここが黒峰組の巣窟だと言う事は事実だ。
さて、行こうか。話は全部俺がするから出来れば話さないでくれ。それと何が有っても絶対に止めるな、何を言われても反応もしないでくれ。出来れば、優姫をここに連れて行きたくなかったんだけどな」
恭哉はそう言った。
「分かった、ちゃんと守るわ」
私はそう答えた。
「悪いな、気を遣わせて・・・怖い思いはさせないから。・・・さて、行くか」
恭哉は私にそう謝り、中に入った。
中に入ると一人の男が姿を見せた。
「また、お前か・・・。また懲りずに来たのか・・・?・・・お前、女を連れて来たのか?」
男は恭哉に怒りを向け、私をなめる様な視線を向け、恭哉にそう聞いた。
「5年ぶりだな、葛城。それと、彼女の事は気にするな。それと彼女にそう言う目線を向けるな。俺が用があるのはお前じゃない、あの男は居るんだろう?」
恭哉は、私を自分の背中に隠し、葛城と対峙した。葛城と呼ばれた男にそう言い、静かな怒りを感じた。
「いる。だが、お前に会わせる気は無い」
葛城さんはそう答えた。
「そうか。会わせる気が無いのなら、探し出すまでだ。・・・行こうか、優姫」
恭哉はそう答えながら、私にそう言った。
恭哉に話すなと言われている為、頷くしかなかった。
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