第Ⅰ章 第18話

「・・・流石に気付くか・・・。ああ、その積りだ」

恭哉は口籠ったが、素直に認めた。


「その・・・私も一緒に行っても良い?」

私は恭哉にそう言った。


「・・・それは駄目だ。優姫に怒る積りは無いが、さっき、俺とここに来る前の話、聞いてただろう?あそこの実情は指定暴力団・黒峰組の巣窟だ。


あそこは、さっきも話したが、黒い噂が絶えないんだ。麻薬や監禁はざらじゃないて話しただろう?そんな危険な場所に優姫を連れて行ける訳無いだろう」

何時もなら声を荒げて怒る事をしない恭哉が珍しく、声を荒げて怒った。


私も恭哉の言う事を理解して居ないわけでは無かったし、恭哉の言いたい事も分かっていた。


だけど、私も刑事で譲れない事も、それこそ、恭哉と同じく一度言い出したら聞かないし、恭哉と同じ位、私も頑固だと自覚もしていた。


「恭哉も同じだから分かるでしょう?私も恭哉と同じで一度言い出したら聞かないし、頑固なんだよ?恭哉が私を心配してくれている事も分かっているし、理解しているわ。私を心配してくれてるから私に怒ってくれるのも。でも、諦めて、私の頑固さはお父さん譲りだから。


それに私は刑事だから、事件から眼を背けたくないの。もう、背けるのは辞めたから」

私はそう答えた。



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