第Ⅰ章 第13話

「ああ。あの事件は、恭哉さんと真壁さんが担当刑事として、麻薬取締部の応援で来てくれた事件だったね」

紫桜さんはそう言った。「あ、ここに来る時に教えてくれた事件の事?」

私は、恭哉にそう聞いた。


「ああ、その事件の事だよ」

恭哉は私の質問にそう答えた。


「うん。事件の内容を少し話すと、私が麻薬取締部に入りたての頃に起きた事件で、その事件の裏には鳴海と黒峰組の関与が確認された。黒峰組が、麻薬で一台市場を築いていた事は知っていたかたな。


その事件は、鳴海が麻薬が調合した紅茶を倉田梓と相田京子に売りさばき、2人が麻薬の副作用で亡くなり、もう一人、朝比奈玲奈と言う女子高生にもその紅茶を売り、飲んだ彼女は、重篤だったが、その1年後に麻薬の被害で亡くなった。鳴海は被害者3人が紅茶を飲むのが好きな事を知っていて、それを悪用したと考えられる」

紫桜さんはそう答えた。


「そうなんですね」

私はそう答えるしかなかった。


「恭哉さんがここに来た理由はこの麻薬事件の事?」

紫桜さんが恭哉にそう聞いた。


「ああ。今回の脱獄も黒峰が関与している可能性がある。黒峰が関わっている麻薬事件が他にもあるのなら教えて欲しい」

恭哉はそう言った。


「そう言う事か・・・。と言っても私の知る中だと、30件位は有る筈だ。だが、その30件の中で鳴海が関与しているのは、それでも10件だろう」

紫桜さんはそう答えた。


「10も鳴海が関与していた麻薬事件が有るとはな・・・」

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