第10話

「雪代さん、お話をお尋ねする前に一つ、お尋ねいたします。もし、私の勘違いなら直ぐに訂正して下さって構いません。


・・・雪代さん、貴女は、黒崎さんの彼氏である廣瀬裕也さんに暴力を振るわれましたね?それも1度や2度の生易しいものじゃない、それこそ、何10回も、廣瀬さんは貴女に暴力を振るったのではありませんか?」

私がそう告げると雪代さんの顔は顔面蒼白をした。



「ど・・・如何して?」

「何故、私がその事に気付いたか、ですか・・・。貴女は先程、「廣瀬さんのせいで男性が苦手になった」とそう言いましたね。それに、さっき、私と霧島・・・さっき、この部屋から出る様に言った刑事が貴女の部屋を訪れてから、目線はずっと私の方を向いていた。


決定的だったのは貴女が無意識的に、体の前で手を組んだ事。この体制は、防御姿勢です。普段の人間ならそんな姿勢をしない筈ですが、子供の頃に親に暴力を振るわれてた子や、友人の彼氏から酷い暴力を受け続けると自然体が防御姿勢を取ってしまうんです。


だから、貴女は、黒瀬さんの彼氏の廣瀬さんから酷い暴力を受けていた。勿論、それは、黒崎さんも例外ではない。彼女も貴女と同じ様に酷い暴力に苛まれていた。


だから、黒崎さんは貴女に助けを求めた。

違いますか?」


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