第11話

「リーリアはヴォウフォーグを撃墜!

 ティル! 奴らの位置を補足してリーリアに教えろ!

 レンとリルと俺は二人を護るぞ!」


 怪鳥の住処の前で、フォグが指示を出す。既に陣形は組んだ。

 リーリアとティルを俺たち三人が囲む体勢だ。


 宵の口。……これ以上人が食われるのはごめんだからな。俺たちは早々に事を起こした。

 ヴォウフォーグってのは駆除するのは(力が及べば)簡単で、一羽襲えば全部出てくる。それを撃退すれば、狩り残しはないって寸法だ。


 ……ただし。あまりの怪鳥の猛攻撃に全滅するのが大抵のパターンだが。


「リっちー! あっち!」

 ティルが、最初の一羽を見つけた。無い矢を番え、無い弦を引くリーリア。弓がしなる。


 眩い光が、最初の一羽を屠った。途端、辺りにわらわらと影。……こりゃ、ティルが捕捉するまでもねぇ。


 第二射が即座に放たれる。詠唱破棄の恐いところだ。


 魔弓士は、弓から出すという形で魔力を発動させる。珍しがられるのは、その素質を持つ連中が少なくて、しかも揃って強いからだ。

 しかし、大抵は魔道士や魔剣士みたいに呪文詠唱をする。つまりは、第二射までのタイムラグ。リーリアにはそれがない。


 つまりは、常人では考えられないような呪文攻撃を連射できるのだ。


 リーリアが放った光が、怪鳥の群れに向かう……っておい! そこには何も……!


 次の瞬間、俺は唖然とした。三羽ほどの中間を飛んでいた光が分裂し、それぞれが怪鳥を屠ったのだ。一撃で。


 身体の向きを変えながら、端にリボンを結わえた銀の弓を引き続けるリーリア。光は最大で六分裂し、全て一撃で怪鳥を射殺した。


 ……あの……俺たち出番なし……?



◇◆◇◆◇

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