第11話

なーんだ、お楽しみか…。



ちょっとがっかりしつつも、帰りの楽しみが増えたと思うことにした。



「次はローラーシューズしよか!ローラーシューズやったことある?」



「あるんですけど、生まれたての小鹿みたいな歩き方しかできなくて全然滑れませんでした」



「生まれたての小鹿とかめっちゃうける!それ見てみたいからやろうや」



「えー!恥ずかしいですよ!!」



あたしは時人先輩にひきずられるようにローラーシューズのコーナーに連れて行かれた。



そしてローラーシューズを履いてリンクに入った瞬間あたしは転んだ。



「いったー!!」



「どんくさすぎやろ!もっと踏ん張って立たなまたこけるで。次こけたらほったらかして次のとこ行くで」



そう言いながらも時人先輩はあたしの手を取り、立たせてくれたあと、あたしが転けないようにさり気なく支えてくれていた。



そのおかげであたしは前ローラーシューズを履いた時より楽しく滑れた。



本当に時人先輩って優しい…と、時人先輩の優しさに感動していると、突然手を離されてあたしは咄嗟に時人先輩に抱きついた。



「いっ、いきなり離さないでくださいよーっ!」



「はははっ、ごめんごめん。離したらどうなるんかな~って興味本位でやってもーたわ。ほんまいちいち反応かわいいわ」

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