第19話
「あんたいい加減にしなさいよ!」
三日後。リリアは怒鳴っていた。リュシオスの腕の中で。
「…………」
無表情なアイスブルーの瞳で彼女を見つめてから、彼女を解放してソファの向かい側に座るリュシオス。
なんとなく、ふてぶてしさがある。何だか、彼の無茶苦茶さに拍車がかかったような気がした。傲慢で我侭で無遠慮で……元からだが。
リュシオスが、溜息をつく。
「何だか……」
ソファの背もたれに背中を預け、天井を見上げる視線を自分の手で遮って、呟くように言う。
「馬鹿らしくなった」
手に視線を固定し、顔の前に持ってきて見つめる。
「俺は、親父の言いなりの道中で、兄貴の土地で、親父の権力でお前を手に入れたことを悔やんでいた。だから、いつも遠慮してた」
と、手を放り出して、また天井を見て、
「馬鹿らしい」
呟き、リリアの方に来る。
「リリア」
顔を間近に持ってきて、
「俺は決めた。欲しいものは欲しい。好きなものは好き。そう生きる。もう遠慮しない」
以前、彼女は彼が草食動物のようだと思った。しかし、もうそんな雰囲気は微塵もない。ただ、傲慢で、我侭で、横暴だ。
「お前が好きだ。お前が欲しい。お前がいい」
唇を重ねる間に、彼は言った。
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