第15話

それから、リュシオスは方針を変えた。カズラール邸では、相変わらず彼女を離さず、側に置き……しかし、城には連れて行かなかった。行く前に決まって口付けし、愛していると言い……それだけだった。城から帰るなり彼女を抱き締め、泣きながら彼女に謝り……無茶苦茶な彼は、どこにも居なかった。


 ある日、丸一日帰ってこなかった。次の日の明け方帰ってくると、

「終わった。帰ろう」


 そう言ってリリアを抱き締め、そのまま眠った。彼女をきつく抱き締め、彼女と、時折母と姉を呼びながら。


 国王の誕生日の、翌朝だった。



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