第78話
病室のベッドの上。様々な計器をつなげられ、彼女は横たわっていた。
側で彼女を見守っているのは、彼女の夫に、ガーネット、ウォルト、カイナ、ザストゥ、そして、彼女の腕の中の娘。
今はまだ、計器類は何の異常も示していない。
が、――
――分かる…………。
――もう……時間がない……。
「……ドルティオーク……」
傍らに座り込み、彼女の髪に触れていた夫に、彼女は声をかける。
「リサを……頼む……」
その呟きの直後。
彼女の身体が大きく震え、瞳が緑と金色の間を行き来する。
それが終わった頃には――計器類は、揃って平坦な反応を見せていた。
計器類の、臨終を示す音が気に障ったのか、もはや力を失った彼女の腕のなかで、リサが大声で泣き始めた。
享年十九歳。僅かな知り合いに見取られ、彼女はこの世界を去った。
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