第68話

儀式用の民族衣装――これも、母が彼女が帰って来ることを信じて縫っていたものだ――に身を包み、彼女は祭祀殿に向かった。

 五日後のこと。今日は家族も同伴している。


 祭祀殿では、既に成人の儀の準備がされていた。儀式が始まる前に、巫女頭が彼女に歩み寄り、自分がつけていたネックレスを外し、彼女につける。


「自分というものをしっかりと見つめなさい。答えはそこにあるのですから……」


 彼女の瞳を見据え、しかしながら相変わらずのおっとりとした口調で言うと、中央の一際大きな祭壇を目で指し、

「さぁ、そこに横になってください」

 儀式の開始を促した。



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