第64話

「よく戻りました。リーゼ・フレイマ」

 日が完全に昇りきってから、一人祭祀殿を訪れた彼女を、数人の巫女と、巫女頭が出迎えた。


 輝くような金色の髪に金色の瞳。白い法衣には、金の装飾。全身から金色の光を発しているような印象を受ける、見た目二十代半ばの女性だった。


「……お久しゅうございます。イリア様」

 祭祀殿の一番奥の祭壇に立つ巫女頭の前に膝をつき、彼女が言うと、巫女頭は立つように促しながら、


「あなたからこの五年間のことを説明する必要はありません。プロトタイプ〇一三からも聞いたでしょうが、私たちはあなたを監視していました」

 どこかおっとりとした口調――これが地なのだ――で言う。


「しかし逆に、あなたは訊きたいことがあるでしょう。例えば――何故この村が存在するか」

 イリアの言葉に、彼女は無言で頷く。


「ではまず、この村が生まれたいきさつを話しましょう。

 この村が生まれたのは、五年前――あなたたちの言う現実の世界で、あの村が滅びた時です」



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