第22話

その日の深夜。彼女らは屋敷の裏庭にいた。予言を終えたカイナは再びティーンを捕まえてはしゃいだ後、疲れて眠っている。ティーンは、正門の前に戻り、警備を続行している。


「迂闊だった……。嘗めてたわ。あの子の能力……」

 呟いたのは、ガーネット。

「私もよ。まさか、私の妨害を破るなんて……よほどオーグリア神とホズティス神の加護が強いのね……」


 呟き返したのは、ガーネットと瓜二つの女性。ただ、全体の色がオレンジがかっている点のみが異なる。


「こうなったら……リーゼは……」

「いくら止めても無駄ね。突っ走るわよ。きっと」


 ガーネットは、嘆息し、

「仕方ないわ。スペサルタイト、あなたはイリアの所に戻って、指示を仰いで。

 あたしは一応、リーゼの様子を見るわ」


 スペサルタイトと呼ばれた、オレンジがかった女が頷く。


 ガーネットは、スペサルタイトに手をかざすと、

「セミープレシャス プロトタイプ〇三八 コードネーム《スペサルタイト・ガーネット》

 汝の名を以て、汝が地へと、汝を送らん」

 呟くように、詠唱する。


 スペサルタイトの姿が、光の粉となって、消えた。

「あー、頭痛い」

 一人残ったガーネットは、なげやりにそう呟いた。



◆◇◆◇◆

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