第10話
ぱらぱらと、天井から埃と砂が落ちてくる。爆音と振動は、ここにも充分すぎるほど響いていた。
呪法院のミーティングルームである。この建物も、決して脆い造りではないはずなのだが……もう何度目か数えるのにも飽きるほど、爆音に揺らされていた。
と、部屋の扉が開く。建物の入り口に近い方ではなく、建物の奥につながる方の扉である。
「お前ら、この騒ぎは何なんだ?」
部屋に入ってくるなり、尋ねてきたのはこの呪法院の教官の一人である。
「……戦技院からも何人か来てるみたいだし……」
「ガーネットが暴れてます」
また振動が響く中、呪法院のメンバーの一人が簡潔に答える。
「ガーネットが? 何でだ? スペサルタイトに落書きでもしたのか?」
「まさか」
左耳にピアスの男が答える。
「ただちょっと、院長の指示で、模擬戦をやってるだけですよ。……ティーン・フレイマと」
男が答える間にも、二回ほど地震のような振動があった。
「ティーン・フレイマ? あの戦技院の化け物か?」
「
戦技院のメンバーの一人が言う。
「…………で、ガーネットとまともに渡り合ってるのか?」
「少なくとも、ガーネットは本気出すって言ってましたけどね」
ウォルトが答えると、教官はよろめき、
「……何てことだ……ガーネット一人でも手に負えんと言うのに……」
呟く。
と、爆音が収まった。
静寂が、部屋に落ちる。
「……終わった……のかな?」
「……そうかもな。
外に出て見るか」
一同は立ち上がり、外へ繋がる扉を開いた。
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