第9話
「……どーなってんだ……こりゃ……」
地上と空中で対峙する二人を眺めながら、ウォルトはぼそりと呟いた。
一体どこで身につけたのか、ティーンは短縮詠唱を完璧に使いこなしている。それどころか、呪法院のメンバーで最強と言えるガーネットと互角に渡り合っているのだ。
「彼、かなりやるみたいだね」
ウォルトの隣で呟いたのは、左耳にピアスをつけた、派手なローブの男。
「僕じゃ勝てないだろうなぁ……」
話している間にも、二人の間で行使される呪法は、次第にエスカレートしていっている。ついに、呪法院の建物まで揺らす爆音が響き渡り、草原を囲んでいた森の一部が消滅する。
「……なんか……避難した方がよくねーか?」
「僕もそう思うけど……院長、止めないんですか?」
ピアスの男に問われ、ハウライドは呑気な口調で、
「このまま続けてもらうわ。みんなは建物の中で待ってて頂戴」
二人から目を離さずに、言う。
結局、ハウライドを残した全員が、呪法院の建物に避難した。
◆◇◆◇◆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます