63・霞は忘れられない存在〜紅露目線〜
第63話
やっと…やっとリリナーアが俺の愛おしい彼女になった。
霞を忘れた訳じゃない。
リリナーアが来るまで今の今まで共に過ごして来た彼女を忘れるなんてこれから先も出来ないだろう。
「……」
視線を窓からリリナーアの背中が見える位置に写すと懸命に勉強についていこうとしてる姿が更に愛おしく感じる。
「……」
霞とは、幼馴染の延長線上での付き合いだから側にいて当たり前、居て当たり前が急にリリナーアと言う他の女性に変わって心がついていかなかったけどリリナーアは逆に俺を救ってくれた。
俺が苦しい時に側に居てくれた。
触る手は同じなのに言葉が違う。
漂う雰囲気が…態度が違う事を俺を救ってくれて俺は霞…リリナーアに恋をした。
「紅露?授業終わったよ?」
授業が終わって休み時間に俺の元にすぐ来るリリナーアが愛おしい。
「あぁ。さっきの分かった?」
きっと分からないと思ったから事前に教えていたら満面の笑顔で俺に答えてくれる。
「うん。紅露が教えてくれたからバッチリ」
「良かったな。次は移動教室か」
「うん」
教科書を持ってリリナーアと教室に向かう。
「紅露、今日は一緒に帰れる?」
「帰れるよ。明日出かけるだろ?」
「うん!楽しみにしてるよ」
リリナーアと本物の恋人同士になってからの初めてのデートになる。
「霞、明日何処行きたい?」
「紅露となら何処でもいいよ?」
そんな事言ったら明日一日母さん居ないから部屋に入り浸る自信がある!
「健全なデートしょう」
「うん?」
リリナーアと楽しく喋りながら廊下を歩いていたら腕に絡みつかれた。
「な〜に?明日出かけるの?紅露」
「茜さん!」
言っても右から左に聞き流す女・茜が出た。
「明日はお前、テーブルに山積みの書類片付けるんだろ?頑張れな」
「紅露〜!!私の事心配してくれてて嬉しい。明日、頑張るからね!」
腕を振り解いて歩き出す。
「紅露は明日大丈夫なの?」
不安そうな顔で俺を見て来たリリナーアの肩を抱き寄せて笑って答える。
「俺は片付いてるから大丈夫だよ」
「そうなのね。でも無理なら…」
そういうリリナーアの口を人差し指で塞いだ。
「俺の楽しみ取らないで?リリナーア」
「もおっ!紅露!その名前はっ」
慌てるリリナーアが可愛くて揶揄ってみた。
霞…忘れた訳じゃないけど俺と
だから霞、俺からリリナーアを奪い取らないでね。
奪い取るなら俺はお前の敵にでもなれるから。
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