61・人前でキス?
第61話
「おはようって…いないんだった…」
挨拶しながらパジャマのまま下に降りて来て朝食のいい匂いがしない事に気付いて振り返った。
昨日は結局寂しくなってしまって紅露と夜遅くまでlimeをしていてそのまま寝落ちしてしまった。
最後のlimeの言葉は{おやすみ、リリナーア}だったから慌てて{おはよう、昨日はありがとう。寝落ちしちゃってごめんなさい}で送っておいたけど既読は付かなかった。
「そっか…生徒会の仕事だっけ。早く行くって言っていたもんね」
ちよっと寂しくなったけどパチンっと両頬を軽く叩いて気持ちを切り替える。
「よしっ!紅露にとびっきりの笑顔を見せるんだもんね」
朝食の用意をして食べ自分の部屋に行き制服に着替えた。
「そろそろ時間かな。今日は起きれて良かった…」
今日も起きれないとおもったけど人間結構起きれるもんだね!って自信がついたから朝、紅露に起こされなくても平気ねっ!って思った。
「よし、忘れ物なし。行って来まーす」
玄関に向かって靴を履いて外に出て固まった。
「………」
朝から一人でどう対処して良いか分からない
「おはようございます…」
「……」
とりあえず挨拶は基本中の基本なので挨拶はしたけどそこから先会話が続かない。
「いつになったら紅露を離してくれるわけ?」
「…それを言う為にわざわざ待っていたのですか?」
敵意剥き出しの茜さんに怒らず冷静に。
「紅露の彼女じゃないくせに!紅露をいつになったら私に返してくれるの?」
「私は紅露の彼女です。茜さんは生徒会仲間だけですよ?」
堂々巡りになってるこの質問。
「田内」
「紅露!どうして…ここに?」
田内は茜さんの苗字。
「お前が中々戻ってこないから様子見に来た。俺の予想通りここに居たな」
「だって、紅露は私の彼氏ってこの女に分からせないと!」
「……」
紅露は黙って少しどうしてよいか分からない私の方に寄って来て肩を抱き寄せた。
「田内はよく出来た仲間だと思ってる。俺の彼女は…」
「ちよっ…」
紅露の唇が近付いてきていきなり茜さんの前でキスをされた。
「……っ」
「俺の彼女は霞だ。お前に興味ない」
……人前でキスしちゃった…。
それも、茜さんだけじゃなくって他の生徒もいる前だから他の生徒達が恥ずかしがりながら立ち去って行く。
「私に興味なくたって私は紅露の事好きよ!」
「……」
目の前で好きな男性が他の女性とキスしていたら傷付かないの?
きっと傷付いているんだよね…?
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