60・2人の約束

第60話

「ねぇっ、待って…」

「待てない」


紅露を一生懸命押すけどビクともしないからこのまま流されるのは嫌なので…。


「紅露、ここ玄関だから…」

「えっ……?」


玄関・・って伝えたらピタリっと止まった。


「俺…あー…ごめん、リリナーア」

「…大丈夫」


慌てて服を戻して2人して黙ってしまった。


「「あの」」


言葉が重なって「紅露からいいよ?」って伝えたら紅露が抱きしめて来た。


「ごめん。節操なしって嫌われたら俺生きていけないよ」

「……」

「ちゃんとベットの上でリリナーアが欲しい」

「……っ」


率直な言葉に心臓が高鳴り照れ隠しで紅露の背中に手を回した。


「うん。ベットで私を貰って?」

「うん。約束な」


約束がいつになるか分からないけど初めてを紅露にあげられる嬉しさにもっと強く力を込めて抱きしめた。


「俺、我慢いつまで出来るかな〜」

「?。紅露?」


紅露がボソッと何か言った気がしたけど聞こえなかった。


「本当に1人で大丈夫か?」

「うん。寂しくなったらlimeしていい?」

「あぁ。いつでもして来い」


お互い離れがたかったけど紅露は家に帰らないといけないから離れた。


「明日、生徒会の用事で早目に出るから。学校着いたら」

「limeね。ちゃんと分かってますよ」


紅露の言葉を遮って続きを続けた。


「じゃあな、リリナーア」

「うん。明日、学校でね」

「あぁ。学校でな」


私の頬にキスをして紅露は玄関のドアノブを回して家に帰って行った。


「……」


家の中は途端に静寂が広がっていき自分…本当に一人っきりなんだな…と思いながら自分の部屋に向かった。


「こんな時は刺繍の続きをしよう!」


途中の刺繍を取り出してベットに座ってチクチク縫っていく。


コツが掴めてきてもうじきって感じでは無いけど紅露の家紋が出来る様に頑張ってる。


「集中出来そうでいいな…」


チクチク縫っていたらlimeが鳴ったけど途中で投げ出したくなくてキリのいい所まで縫っていくとまたlimeが鳴った。


「?ちよっと待ってー〜」


いい所までチクチク縫って刺繍を隣に置きlimeを見たら紅露からだった。


{リリナーア、明後日出かけよう}

「えっ?明後日?」


慌ててカレンダーを見たら明後日は土曜日で学校が休み。


カレンダーも紅露に教えて貰った。


曜日も日付の読み方も。


「明後日、大丈夫だよ。お出かけ楽しみ」


そう送信してまた刺繍に戻ろうとしたらすぐさま返信が来た。


{楽しみだ。行き場所は適当にブラブラしよう}

「うん!楽しみにしてる」


明後日が楽しみ。

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