58・聞きたい事
第58話
{家に着いたよ。生徒会の仕事無理しないでね}
家に着いて紅露にlimeを送ったけど生徒会に送り出したのは私自身だからそう送って良いか悩んだけどその言葉で送信した。
「そろそろ終わる頃かな?」
時間を見たら18時近かったけど生徒会はそれ以降の時間になる事もある。
「忙しいのかな…」
既読がつかない事に不安を覚えていると窓の向こうから音が聞こえたから慌ててカーテンを開けたら紅露が居て手を振っていたから振り返した。
「良かった。おかえり」
安心してカーテンを再び閉めて下に降りたら玄関のチャイム音が鳴り開けたら紅露が立っていた。
「紅露、おかえり。お疲れ様」
「ただいま〜、霞」
お互い玄関で抱きしめて言葉を交わした。
「霞が寂しくても送り出してくれたから明日のお昼は一緒に食べれるよ」
「えっ?なんの事かなー…」
抱きしめながら顔を見られるのは恥ずかしいから俯いたら顎をグイッと挙げられて視線が交じり合う。
「寂しくても言わないのがリリナーアだろ?寂しかったの知ってるし、一緒に帰りたかったのも知ってる」
バレてる事に恥ずかしなって顔を背けようとしても顎を掴まれてるから背けられない。
「可愛い、リリナーア。俺の可愛い彼女」
「紅露…。寂しかったよ?」
素直に認めないと後々大変な事になりそうなので認めました。
「今日、おばさんと麗は?」
「お父さんの所に行ってるから今日は伸び伸び出来るよ」
「そうか。俺の所に来るか?」
「行…かないよっ!大丈夫だから」
親がいたら玄関先で抱きしめてるなんて出来ないもんね。
「俺が心配」
「大丈夫だから。寂しくなったらlimeしていい?」
「なん時でもしてこい。俺も寂しいから」
私の頬にキスして私を強く抱きしめる。
「聞きたい事があったんじゃないのか?」
「えっ?」
唐突過ぎる紅露の質問にアタフタしてしまった。
まさか聞かれるとは思ってもみなかったから心臓の準備もまだなんだけども…。
「…聞いていい?」
「なんだ?リリナーア」
私の髪の毛をくるんっとねじ回して優しく撫でてくれるその愛情を疑いたくないから思い切って聞いてみた。
「…霞さんの事はもういいの?」
「……」
紅露がビクッと一瞬…ほんの一瞬身体を揺らし何事も無かったようにした。
紅露から何を聞かれても受け止めようと思った。
だって私のこの身体は“霞さん”だった女性のモノだったんだもん。
「紅露…聞かせて?」
「……」
紅露の制服を握って言葉を促す。
私の手は震えているけど受け止めるから。
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