55・考えて…言わない

第55話

「おはよう、紅露」


通学路を紅露と2人で歩いてる途中で後ろからテンションが下がる声が聞こえてその声はそのまま紅露の腕に絡みついた。


「後ろから見てカッコいい私の彼氏。今日の機嫌は良いかしら?」


紅露、反応なし。


「茜さん、おはようございます」

「あらっー、アンタいたのー?見えなかったってかいつからいたのー?」

「最初からいますけどもぉ?」


この人イチイチ引っかかる言い方して相手にしなければ良いのだけどもそうはいかない。


「紅露、今日の生徒会の案件なんだけど」

「……っ」


生徒会の事を持ち出されたら私は会話の中に入っていけないから少し離れたら紅露が気が付き私の肩を抱き寄せた。


「紅露、通行の邪魔になる」

「邪魔にならないし、俺が困る」


そんな事言われたら強く言えない。


「私もでしょ〜?私も紅露の側に居るからね」


茜さん、本当に強いなぁー…。


「茜、生徒会の案件朝一で報告出来る様になってんだよな?」

「えっ?あっー…まだ」


茜さんが紅露の腕を離して苦笑いしたら紅露の顔がみるみるうちに怒り顔になった。


「茜…」

「今、処理して来まーす!!」


茜さんはそう言って走り去った。


「これで2人きりで学校行けるよ?」

「紅露…うん!」


どんな理由が私には分からないけどこうやって2人で学校に行ける事が嬉しい。


今はこの幸せを噛み締めていたい。


「霞、昼休み一緒に食べれないだ。生徒会の案件が終わってなくて」

「分かった。女友達と食べるね」

「絶対!!男と食べるなよ?limeするからな!」


肩を抱き寄せから手を繋ぐに変わったのだけども圧が強くて手が痛くなった。


「そんな心配しなくたって大丈夫だよ?私には紅露だけなんだから…」

「あっー…今すぐに抱きしめたいし、キスしたい」

「紅露!そんな大きい声で言わないでっ!」


躊躇なく言ってくれる言葉に心臓のドキドキがいつでも高鳴ってる。


「ねぇ、紅露は…」

「?」


“霞さん”の事を聞かないといけないのに…言葉が出て来ない。


「霞?どうかした?」

「やっぱりなんでもない。早く行こ?遅れちゃう」


こんな事時に聞かないよね。


部屋で聞くとか色々場所を、考えないとね…って頭の中をぐるぐるかき回していたら紅露がジッと凝視していたのを気付かなかった。


お昼になって紅露は朝言った通りに生徒会室に行ってしまったから私は久しぶりに友達と昼食。


いかるか君に頼まれてるよん」

「いつの間に…」

「愛されてますねー…」


いつの間に根回ししたのか分からないけど心配性なんだから…

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