54・甘い甘い砂糖菓子

第54話

夢じゃないよね?って感じる位幸せだった先程の紅露との時間。


「紅露が私の本当の彼氏…」


心の中で叫びが爆発してベットで寝返りを左右にうって幸せを噛み締める。


「……!!」


急に思い立った事があり起き上がった。


「霞さんを…忘れて…?」


紅露にとって大事だった霞さん。


私が来た事によって霞さんの人格を奪ってしまったのは間違いないからこれは償っていかなきゃならない。


「こんな時、殿下の意見も聞いてみたいけど殿下はきっと信じないだろうなー…」


クスッと乾いた笑いをして携帯を握りしめた。


殿下が嫌いで会わない訳じゃない。


惹かれた…心から好きと思った男性が紅露に傾いただけ。


「紅露に聞くのは…怖いな」


紅露に聞けば答えてくれるかもしれないけど答えてくれないかも…どっちか分からないけども…。


「あっー!!悩んでるのは私らしくないわ!紅露に明日聞いてみよう!」


ベットに寝転がって目を瞑った。



「ナ…リリナーア、朝だよ?起きろ」

「んっ…んんっ…まだ…眠い…」


ペチペチと頬を軽く叩かれても眠気が勝る。


「仕方ない姫様だな。起きろ?リリナーア」

「んっ…」


まだ、あと5分…寝かせてと思っていたら少し息が苦しくなってきて慌てて目を開けたらイタズラ顔の紅露の顔。


「苦しいってっ!紅露」

「リリナーアが起きないからだよ?」


紅露が、私の鼻を塞いでいた。


「リリナーアが起きるの遅いからだよ?」

「朝は弱いのっ!毎日起こしに来てくれるんでしょ?」


イタズラされたからイタズラ顔して言って見たら紅露が笑って私の頬にキスをした。


「毎日起こしにきてやるよ。俺の大事なお姫様」

「わぁっー!!自分で起きますっ!」

「なんでだよ。お前が言ったんだろう?」


こんな甘い言葉吐かれたら心臓がいくつあっても足りない。


「着替えるから部屋から出て行って?」

「手伝ってやるよ。彼氏だし?」

「〜〜っ」


着替えを手伝ってもらうなんてそんな恥ずかしい事無理!


「紅露…楽しんでるでしょ?」

「そりゃあ、可愛い彼女が目の前にいたらね」


ウィンクして部屋から出て行った紅露に私の顔は真っ赤になっているのが自分でも分かった。


「バカっ…紅露…」


朝から甘い砂糖菓子を口に含んだ言葉が身体中巡って甘い甘い目眩がするけど不思議と心地よいのはきっと紅露が発してくれた言葉だから。


「おはよう」

「おはよう、早く食べちゃいなさい」


紅露は麗と遊んでいた。


お母様に急かされて朝食を頬張った。


こんな穏やかに過ごせて本当に幸せ。

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