53・偽装から本物に…

第53話

何度もキスをしてお互い顔を見合わせお互いの頬を包み込んで笑い合った。


「夢にならない様に今日一緒に寝ようか?」

「えっ?あっ…!無理っ」


即答しちゃったけど一緒に眠るのはまだ無理!


「アハハッ、嘘だよ。慌てた姿を見たかっただけだから」


ポンっと頭を撫でてくれても私の顔は真っ赤になってる。


「紅露のイジワルっ」

「リリナーアが可愛いからだよ。俺が興味があるのはお前だけだから」

「……うん」


紅露の胸に頭を預けたら抱きしめてくれて幸せ過ぎるのを噛み締めていた。


もう2度と元の世界に戻れなくてもよいよ。


紅露の側を離れるのが一番怖い。


「リリナーア」

「はい?紅露」


紅露に呼ばれたから紅露の顔を見たら満面の笑顔だったからドキッとしてしまった。


「リリナーア、俺と一から恋愛を育てて欲しい」

「……っ」


貴方とまた最初から恋愛が出来る嬉しさに胸がいっぱいになり息をどうしていたか分からなくなった。


「……っ」

「返事はっ?」


私の目から涙が後から後から溢れて涙を指で拭き取ってくれてる紅露を困らせたい訳じゃないのに止まらない。


「リリナーア」

「はい…よろ…しく…お願いし…ます…」


涙でひゃっくりが出て上手く喋れないけど伝えたい気持ちは溢れる程あった。


「俺の彼女は泣き虫だな〜。そこも可愛いけど」

「ふふっ…泣き虫よ?…いつでも涙を止めてくれる?」

「仰せのままに。お姫様」


紅露の口が私の瞼にキスをして涙を止める。


「言った手前なんだけどあまり甘やかさないで」

「なんで?沢山ドロドロに甘やかしてやる」

「甘やかされたら紅露なしでは生きていけなくなちゃう」

「本望だよ。俺なしでは生きていけなくしてやるよ」


紅露が恋人になってすぐにでもドロドロに甘やかされてる。


偽装恋愛をやめて…やめて…?


「偽装恋愛しなくても良いって事?」

「本物の恋人同士になっただろ?」

「あっ…うん!」


偽装恋愛はやめて本当の恋人同士。


「これで、茜さんに何を言われても平気よ!」

「茜か…。気にしなくていいぞ?」

「これは女の戦いだから」


茜さんにだって何度も思うし言うけど紅露は私の彼氏…本当の彼氏になった嬉しさから怒りがどっかにいってしまってウキウキしたくなってしまった。


「リリナーアが嬉しそうで良かったよ」

「今、凄く幸せよ?」


満面の笑みで紅露に答えたら口を塞がれまた強い優しいキスが私を包み込んだ。


「ふっん…どうかしたの?」

「あまりにも可愛すぎるから俺のなんだって実感したかった」


私の心臓もつかな…

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