49・お返し…?
第49話
「ゴホッ、ゴホッ…」
「紅露!大丈夫?」
紅露が咳をする
「……やっと熱が下がった…」
朝方になって体温計で熱を測ったら下がっていてホッとして紅露の頬を触った。
「紅露……良かったよ…」
「……んっ…」
布団から紅露の手が出て来ていてグイッと腕を捕まえられて紅露の胸に飛び込んだ。
「!!紅露!?」
「……」
寝てる…?
寝ぼけながらも私を優しく抱きしめてくれる大きな腕の中。
この幸せなひとときをまだ浸っていいよね…
だって偽装恋愛していても私は今は紅露の彼女。
「……」
「……んっ…」
紅露が起き様としてるから慌てて腕の中から出ようとしたらガッチリと抱きしめられた。
「紅露っ!?」
「逃がさないよ?霞、俺からのお返し何がいい?」
「…お返し…?って!起きていたの!?」
「熱測った時からね。で、お返し何がいい?」
「お返しって…何もしてないよ?」
お返しする様な事はしてないはずなんだけど紅露何かと勘違いしてる?と考えていたら「ププッ」と笑った声が聞こえて来た。
「心当たりが無いって感じだね、霞」
「うん。…だって心当たりないもの…」
紅露が私の頬を優しく撫でて優しい目で私を見つめる。
「俺を一晩中看病してくれただろ?そのお返し。
まともに寝れてないだろ?」
「そんな事!紅露の辛さに比べればなんて事ないよ!」
当たり前の事をしただけ。
愛おしい男性の看病を自分から率先して早く熱が下がる様に願っていただけ。
「その気持ち俺は嬉しい。嬉しいから霞を喜ばせたい」
「…何も思いつかないよ。紅露が決めて?」
紅露の側に私は居られれば良いだけ。
それだけを求めている。
でも、殿下の事も今だに気になるのも事実だけどこれは紅露に伝えられないまま引きずってる。
「俺が決めちゃっていい?」
「うん。何も思いつかないから」
紅露に笑って答えると唇を指で押されてドキッと心臓が高鳴る。
「なら、霞から俺にキスして?」
「えっ?なんでっ…」
「俺のお返し」
お返しって…そんな恥ずかしい事二度も出来ないし…風邪引いて熱が下がった紅露にキスするなんて…。
「唇は百歩下がっても無理っ。恥ずかしくって出来ないっ!……頬なら」
「唇にして欲しかったけど頬で良いよ?」
私を
「はい、どうぞ?」
「〜〜〜っ」
女は度胸だ!と思いエイヤッ!と目を瞑って頬にキスをした。
「可愛いキスをありがとう」
その笑顔、ズルイから〜〜っ
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