45・殿下に会いましたけど…
第45話
「先帰って」…って言うから先に帰りました。
そして、制服のまま携帯と対座しております。
「よし!今度は泣かないからね」
前回の事も踏まえて泣いたらすぐ気付かれちゃうから泣かずに心を落ち着かせる。
「……」
時計の音が静かな部屋に鳴り響く。
「…よし!行きます!」
携帯の電源を入れて起動させる。
「……」
この時点で胸がいっぱいになる。
音楽が流れ会いたい人が視界いっぱいに映る。
「あぁ…殿下…」
言葉を溢してしまった。
「……殿下、リリナーアはココに居ます」
そう呼びかけても殿下は気付かない。
殿下を見て殿下に気持ちが引っ張られて紅露を見れば紅露の気持ちに引っ張られて…優柔不断な女ね…リリナーア。
「殿下…。元気にしてますか?」
「そなたに会えるとは思わなかった。こんな気持ちそなただけだ…信じて欲しい」
「…殿下!!」
殿下に触っても殿下はこちらを見てるけど
「殿下…寂しゅうございます。心が引き裂かれそうになります。私はいつまでココにいれば良いのでしょうか?」
この世界に来てからまだそんなに経ってないけど元の世界に帰りたい…と心が叫ぶ。
「殿下に愚痴をこぼすなんて王子妃候補失格ですわね。でも、殿下が見てくれないなら愚痴を溢しても良いにして下さいまし…」
殿下に触れて涙目で笑ってそう溢した。
いつ帰れるか…なんて分からない。
いざ帰るとなると私は紅露を忘れられる?…そんな事が頭を過ぎる。
「本当に自分勝手な女ね…両方に揺らいでるなんて…」
手を伸ばして携帯の電源を落として真っ暗な携帯を見つめる。
「私はどちらを選ぶの?」
自分に問いかけるけど答えは返ってこない。
立ち上がって制服を脱いで行く。
頭の中がモヤモヤグルグルしていて一旦整理したい。
「紅露に抱きしめて欲しい…」
頭に一番最初に思い浮かぶのは紅露の顔で言葉を溢していた。
上着を来てふぅー…とため息を吐いたらフワッと後ろからいつも側にいる匂いが私の鼻腔をくすぐる。
「後ろから抱きしめてやるよ」
「ふふっ。抱きしめて欲しかったのなんで分かったの?」
「リリナーアの事ならなんでも分かる」
グッと抱きしめられ体が密着してドキドキが聞こえないか心配するけど紅露はきっと気にしない。
「生徒会の仕事は大丈夫なの?」
「あぁ。急いで終わらせて来た」
腕の中でクルッと半回転して紅露と向き合う。
「お疲れ様。私からもギュってしていい?」
「〜〜なに?その可愛いおねだり……」
紅露、お疲れ様でした。
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