43・溢れてしまう気持ち

第43話

「あっ!私紅露に用があって来たんだよ〜」


そう言いながらまた紅露の隣にチャッカリと座って腕を組む。


「副会長がねぇー…」

「副会長?」


その言葉に紅露が反応した。


「うん。さっきの報告書の決算のいんが欲しいから会長探してるよ〜」

「印?あの時目を通して全部押したはずだろ?今更印はしないよ?」

「……でも、副会長が会長を探してるのは本当だからね!」


紅露は少し黙って茜さんの腕を振り解いて立ち上がった。


「霞」

「あっ、はいっ」


私の頭を優しく撫でていつもの紅露の笑顔。


「俺、茜と先に行くから霞はゆっくりしていて」

「うん。ゆっくりしてるよ」


“心配ないよ”…って言ってくれてる顔。


「茜、行くよ」

「あっ!うん」


茜さんを呼んで紅露は副会長の元に向かった。


「あの時の茜さんは本気の目だった…」


お弁当を片付けそれをはじに寄せ両足を曲げ両手を組んでそれに頭を乗っけて身を委ねた。



「すぐ終わるなんて思ってないよ…」


言葉がポツリと溢れて消えた。


生徒会長としての責務がある紅露をここまで一人占めするのではない。


この瞬間ときが寂しいだけ。


後で教室で笑った紅露に会えるから今が寂しいだけ。


「それでも…寂しいよ?」

「なら俺は抱きしめていれば良いよね?」

「えっ?」


ガバッと勢いよく頭を上げたら愛おしい男性の視線とまじあった。


「えっ?あっ?副会長はっ?」

「俺の印じゃなくて副会長の印が抜けてた。茜は書類がまだ残っていたから残して置いて来た」


私の聞きたい事を言ってくれる目の前の男性の背中に背を回した。


「来てくれて嬉しい」

「彼女のお前を長い間一人にする訳がないだろ?」


紅露も私の背中に手を回して抱きしめあった。


「リリアーナ…もうそろそろ休憩終わるから行くか」

「あっ…うん」


体から紅露が離れていくから寂しいから両腕を掴んだ。


「リリアーナ?どうしー」

「……」


紅露の両肩に手を付いて紅露が言葉を吐き出す前に唇を奪っていた。


「んっ…」

「リッ…」


紅露の首に両手を回してもっと深く口づけを交わす。


女からなんてはしたないかもしれないけどまだ離れたくなかった気持ちが溢れた。


「紅露…」


角度を変えて何度も唇が離れてくっついて…。


紅露も私の良いようにキスを交わしてくれていたから私の主導権でキスが交わせた。


「紅露…」

「リリアーナから俺への初めてのキスだな」

「…嫌じゃなかった?」

「歓迎するよ」


とめどなく溢れてしまった気持ちに蓋はもう出来ないって分かってるのに…。

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