42・茜さん、メンタル強い…

第42話

癒して…って言われてどう癒せば良いか分からない。


王子は一言も「癒して」なんて言った事が無かったから難しい……?


「これ……癒されてる?」

「癒されてるよ」


いつも通りのお昼の場所で一番下の階段に私は座って紅露は私の膝枕して目を瞑ってる。


「…撫でていい?」

「彼女の特権だからどうぞ」


緊張しながら紅露の髪の毛を撫でるとフワッと柔らかい毛が私の指の間をすり抜ける。


「ふふっ…」

「どうした?」


私が笑ったから紅露が目を開けて視線がまじ合う。


「……」

「……」


どちらが言った訳じゃないけど絡み合って手を繋いで紅露が無言で起き上がる。


紅露のもう片方の手が私の頬を触りキスをすると感じて目を瞑った。


「……」


ドキドキしながら紅露の唇を待っていた。


「見ーつけた!紅露!」

「!!」


茜さんの声で慌てて目を開けて紅露から距離を取った。


「紅露〜こんな所に居てー!!寂しかったんだから!」

「茜…お前…」


茜さんに邪魔されて紅露とキスが出来なくて残念に思った。


「アンタ、居たの?いつもいつも紅露の側に居てウザーい」

「…その台詞そっくり返します。紅露の彼女は私なんだから紅露は私のですけど?」

「彼女ヅラしてて面白い〜」


実際彼女なんですけど…偽装だけども。


「茜、邪魔」

「そんなツンデレな所が好きだよ。紅露」


茜さんはチャッカリと紅露の隣に居て紅露の頬をツンツンして笑って言った。


「紅露…ウンザリしてるからね?分からないの?」

「ウンザリ?ツンデレだよ〜。彼女は私なんだから」


この女性に何を言っても分かってくれない辛さ。


噂好きな人が居たら一発で底に落ちると思うけどこの世界そんな人がいる訳ないし、それをやったら紅露に嫌われる自信があるから思考を止めた。


「茜、お前は俺の彼女じゃねぇ。俺の彼女は霞だ」

「またまた〜。この女訳無いじゃん!浮気はダメだよ〜紅露」

「……」


真剣な目で茜さんを見てる紅露に茜さんはプルプルと震えて紅露の腕を離した。


「紅露…嘘だよね?私が彼女でしょ?」

「何度も言うよ。彼女は霞」


茜さんが震えながら私を見て黙って立ち上がって目に涙を溜めながら走り出した。


「紅露…」

「本当の事だろ?彼女はお前だよ」


紅露が私に近寄って来て私の頬を触り顔が近付いて来た。


「紅露!何で追って来ないのよ!」

「!!」


茜さんが泣きながらまた舞い戻って来た。


「何で追うんだ?理由が無い」

彼女・・が泣いて走ってるんだよ?」

「だからお前は彼女じゃない」


茜さん…メンタル強すぎる。

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