41・ギリ大丈夫って事で。

第41話

「紅露…あのね…」

「んっ?どうした?」


昨日の宣言通り朝部屋に迎えに来てくれた紅露に昨日の事を聞こうとしてます。


「リリナーア?どうした?」

「昨日……く…は…」

「?」


やっぱり恥ずかしすぎる!


淑女レディーが夜着…パジャマ格好で異性の前に…婚約者でもない異性の前に現れて…。


「……?」


私から現れた訳じゃないよね?


紅露が私の前に現れたんじゃないの!


だったら私が恥ずかしがる必要無いよね?という気持ちに至って冷静さを取り戻した。


「リリナーア?百面相になっていたけどどうした?」

「何でもありません」


婚約者でも無い紅露だけど今は恋人同士だからギリ大丈夫って事にしておこうと思った。


「リリナーア、行くぞ」

「はーい」


紅露に言われて鞄を持って玄関に向かった。


「行って来まーす」

「行ってらしゃい、霞」


お母様に見送られて学校に向かう。


途中、茜さんにいつも通りに捕まって憂鬱な気分で学校に着いた。


「会長!朝早くからすいません」

「?どうした」

「大至急、目を通して頂きたい書面がありまして…」

「今すぐ行く」


学校の門で生徒会委員に紅露が捕まった。


「霞、後でな」

「うん。行ってらしゃい」

「なら、私もだね!」


茜さんも生徒会委員なので紅露の腕に絡みながら呼びに来た生徒会委員と一緒に生徒会室に向かった。


「……」


紅露にベッタリな茜さんにモヤモヤする。


モヤモヤしながら教室に向かうけど考えたら初めての事に気が付いて緊張して来た。


「霞、おはよう」

「おはよう」


クラスの女子達が挨拶してくれるから少しは安心出来た。


靴箱に辿り着いて上履きに履き替える。


「霞ー!!今日の数学さぁー…」

「あっ、うん」


霞さんと仲の良い友達なんだろうか…。


「霞?アンタの王子様は生徒会室?」

「あっ、うん。校門の所で呼ばれていたよ?」


私は目撃したから知ってるけどこの女性は私より先に来ていたから知った情報なんだろう…。


貴族間の噂話が好きな所はどの時代も変わらないって事かしら?と思いながら歩き出した。


「王子様も大変だよねぇ〜。まぁ、きっと簡単に可決しちゃうと思うけどねぇ〜」

「……そうだね」


紅露は人知れずに努力家って事は側に居て感じている。


「霞」

「紅露!大丈夫なの?」

「あぁ。可決して来たから大丈夫」


教室に入ろうとしたら後ろから声をかけられ振り向いたら紅露だった。


「お疲れ様。朝礼始まる前で良かったね」

「あぁ。後で癒して?」


笑顔で紅露を労ったら耳元でそう囁かれたから慌てて耳を塞いだ。

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