24・仮面剥がれちゃうよ…

第24話

「紅露〜ダンス楽しかったね」


次の授業の前の休み時間に茜さんが紅露さんに絡みついてる。


その姿を見てモヤモヤするけど紅露さんは茜さんを一切無視してる。


「霞、次音楽だから行くよ」

「あっ!うん」


紅露さんは立ち上がり私に話しかけて茜さんを突き放した。


「茜、ウザイ」

「ウザイって何よー!!嬉しいくせにっ」


可愛く怒り出す茜さんに見惚れていたら目の前が急に真っ暗になった。


「えっ?何事っ?!」

「霞は、俺だけを見てれば良いんだよ」

「紅露っ!ビックリさせないでっ」


紅露さんが私の背後に回って両目を目隠していた。


「行くよ、霞」

「うん」


音楽教科書を持って紅露さんの後を着いて行くと茜さんはまた腕に絡みついて隣で歩いてる。


私の目の前に紅露さんと茜さんが二人歩いてる。


〈似合う二人だな…〉


小さい声で呟いたはずなのに、紅露さんがピタッと止まって私の方を向いた。


「霞。お前は俺の何?」

「…紅露の彼女よ?」


今、私は十夜霞なんだからそれを忘れちゃいけないのに。


「紅露の彼女として相応しくないんじゃない?」

「紅露に相手されないより断然マシだと思いますけど?」


茜さんにそう言いながらもう片方空いてる腕に絡みついた。


それに応える様に紅露さんが手を絡めてくれて

紅露さんの顔を見て二人で笑った。


「紅露を独り占め出来ると思わないでね」

「紅露の彼女は私なんですけど?」


そのやり取りを悔しそうに茜さんが見て言い私は言い返す。


紅露さんを間に挟んで言い合う。


途中で、紅露さんを気に入ってる人達が悲鳴を上げながら遠巻きで見ていた。


「紅露よ!かっこいい!!」

「霞と茜…二人ズルイ〜」

「私も交ぜさせて〜」


紅露さんって社交場では絶対注目の的。


「紅露〜今日の放課後カラオケ行こうよ〜」

「お前一人で行け」


部屋を通る度に不思議な物ばかりあり興味を引く。


「……!!」


私が一番目を引いたのは部屋の前にあった刺繍。


「霞?」

「もぉ〜、何?」


その作品を見たくて足を止めてしまったけど二人紅露と茜の足も止めてしまった事に気付かなかった。


「どうした?」

「あっ!ごめんなさい。刺繍があって…」


刺繍の作品が綺麗で繊細で心が落ち着く。


「放課後寄るか?」

「えっ?本当に??」

「あぁ。霞が興味あるなら」


紅露さんが提案してくれたのに茜さんが不思議がった。


「霞〜刺繍に興味があったの?ビックリなんだけど〜」

「!!」


茜さんに言われてハッとして慌てて否定した。


十夜霞の仮面すぐ剥がれちゃうよ…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る