22・二人きりの時間

第22話

お弁当を食べ終わり包み横に置いたら紅露さんに手を握られて軽く引っ張られ私のお尻が持ち上がり私が座る場所に誘導した。


「霞を、補充」

「紅露っ!?」


座る場所は紅露さんの足の間。


思いもよらない所に座った私。


そして、紅露さんに後ろから抱きしめられる。


「癒される〜」


その行為に心臓は早鐘し緊張してどうして良いか分からないから固まってしまった。


「霞、次体育だから怪我しないように」

「あっ…うん」


ぎこちない返事しか出来ない私に紅露さんは、

手を持ち上げ手の甲にキスを落とす仕草にも胸が高鳴る。


「紅露っっ、恥ずかしい…」

「俺と霞は恋人同士なんだから」

「あっ…うっ…うん…」


偽装恋愛だから十夜霞の仮面を付けなくてはいけないのに後ろからの紅露さんの吐息が熱が…伝わって来て早鐘してそれ所じゃない。


「リリナーア」

「あっ、はい?紅露っ、その名前…」

「だって今は二人だけ。好きに呼んでいいら?」

「うん…」

「リリナーア、あまり焦っちゃダメだよ」


紅露さんの優しい言葉に目頭が熱くなる。


「はいっ…」

「リリナーアも俺を好きにさせてみさるから」

「?何か言いましたか?」

「何も言ってないよ」


そう言われたけどキツく抱きしめられ耳にチュッって音がしたからキスをされた。


「紅露っ!?」

「あまりにも可愛いからね」


悪戯に笑って誤魔化した紅露さん。


紅露さんの名前を呼ぼうとしたら遮られた。


「見つけた〜!紅露!」

「…茜さん!!」


茜さんの登場で二人きりの時間が終わった。


「紅露、次の体育私頑張っちゃうからね!」


茜さんが来ても腕を緩めてくれない紅露さん。


そして、話しかけても無視してる紅露さん。


茜さんの笑った顔がすごく可愛いく勉強になるなぁー…と見ていた。


「アンタ!いつまで紅露の腕の中に居るのよ!」

「?いつまでって…。私と紅露は恋人同士なんだからくっ付いているのは当たり前でしょ?」


紅露さんの手を握りしめたら握り返してくれた。


この茜さんには紅露さんを渡したくない気持ちが沸々ふつふつと湧き上がってくる。


「紅露は私の彼氏なのよ?この泥棒猫!!」

「泥棒猫になった覚えはありませんけど?勘違いも程々に」

「……っ」


言い返せる言葉が無くなったのか分からないけど茜さんは振り返って去って行った。


「あの方、疲れる…」

「まぁ、無視するのが一番良いよ」


紅露さんは無視出来るかもしれないけど私には無視は出来ないよ。


「霞、茜の取り扱い上手だよ」


褒められても嬉しくないですけどね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る