14・紅露とお出かけします

第14話

「霞、お待たせ」

「あっ、母さん。麗と遊んでいたよ〜」

「アンタ、令嬢ごっこやめてくれて良かったわ」


苦笑いしかできなかった。


本当に公爵令嬢なんだけどこの世界には通じない事に少し傷付く。


「じゃあ、部屋に戻るね」

「ありがとう、霞」

「うん!」


お母様と麗の笑顔が見れただけでも良いとしたいと階段を上がっていたら携帯が鳴ったので見たら紅露さん。


「紅露さん!」


紅露さんからのlimeが来て嬉しくなり急いで部屋に入った。


{リリナーア大丈夫か?}

{はい。何とかこなしてます}


紅露さんとのlimeが嬉しすぎて…。


{今日の事少し復習しておくよーに}

{はい!先生}


ベットの中でlimeを打っていたけど嬉しくて寝れそうにない。


{そろそろ明日に備えて寝るか。おやすみ}

{おやすみなさい。紅露さん}


互いに挨拶してlimeを終わらせた。


上にスクロールしていくと霞さんと紅露さんのやりとりが表示されてる。


「霞さんは紅露さんの側にずっと居たんですね」


急に寂しくなった。


これ以上考えない様に無理矢理目を瞑った。



「み…霞」

「…はい?」


名前・・を呼ばれて慌てて返事をした。


「霞…リリナーア。やはり怖いか?」

「平気。このまま行きましょう」


ボッーとしてしまった。


外が怖いには怖いのだけど寝れなかったのが響いてる。


「このまま行くけど辛かったら言えよ」

「…うん」

「じゃあ、行こう」


笑って自然に私の手を繋ぎ歩き出すから慌てて名前を呼ぶと不思議そうに見て来た。


「紅露さんっ!」

「んっ?何?」

「…何でもない…」


ほどいて…なんて言えなかった。


この人の側に居る事が心地良いと感じてるなんて…霞さんの気持ちなのかリリナーアとしてなのか…分からない。



「紅露!今日はあの女…って居たのね」

「?」

「何用だ?」


急に紅露さんを呼び捨てにして腕に絡みついた女性は黒髪のボブでスタイリッシュな格好がとてもよく似合う女性。


「紅露!ここで会うのは運命だね!紅露と行きたい場所があるの!」


グイグイと腕を引っ張り連れ出そうとしたからその女性の行動を止めた。


「紅露は今、私と出かけてる最中!アンタ一人で行って来たら?」

「何よ!アンタ!相変わらず紅露にくっついて寄生虫みたい」

「アンタもね!」


この言葉遣いで合ってるかなんて分からないけどこの女性だけには取られたくないと思った。


あかね、俺は無理。じゃあな」


紅露さんが手を離して私の肩を抱いて歩き出した。


何か叫んでいたけど無視をした紅露さんだった。

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