13・麗ちゃんにご挨拶

第13話

夕飯は四人で賑やかに楽しく食べて楽しかった。


「リ…霞、そろそろ帰るよ」

「あっ!うん。気をつけて」


リビングで麗ちゃんと遊んでいた紅露さんは時計を見てお皿を拭いてる私に声をかける。


紅露さんが帰るから玄関で見送る。


今日目覚めてずっと紅露さんが側に居てくれた。


心細くなるのは自分がこの世界に一人きりの感覚があるから?


「limeも教えたろ?何でも良いから電話しろ」

「…はい」


頭を撫でてもらって私は子供じゃないのにと思いながらも不思議と落ち着く。


「紅露君!穂乃果ほのかにカレー」

「ありがとう!母さん喜ぶよ」


お母様がカレーを箱に入れて紅露さんに渡した。


紅露さんは嬉しそうに笑っていた。


「じゃあな、霞。明日」

「うん、明日ね」


玄関が開き紅露さんが出て行った。


「霞、お風呂入って」

「はーい」


その場に一人になって急に体が震え出した。


震えを止めようとしても止まる所か更に震えが大きくなる。


「……っ」


そんな時に頭に流れて来た映像は先ほどの紅露さんが嬉しそうに笑っていた顔。


「…このままの私では紅露さんに心配かけてしまう。十夜霞になるって決めたでしょ!」


震えを、自分の両頬を、叩いて力を込める。


「霞ー?まだ玄関?早くお風呂入って」

「…はーい」


お母様に促されてお風呂の準備に入る。


これも紅露さんと携帯で検索して教えてもらった。


パジャマとやらはまた着れば良いとも教えてもらった。


覚える事が沢山あってやり甲斐はあるけど疲れた。



「ふぅ…。さっぱりした…」


四苦八苦しながらとりあえず出来たかな?って鏡を見て変な所は無いと思い浴室から出た。


「霞、母さんお風呂入ってくるから麗見てて」

「えっ?一人で見てるの?」

「?…霞、まだ令嬢ごっこをしてるの?いい加減にしてよ」

「お…」


お母様は洗面所の扉を閉めてお風呂に入ってしまった。


一応さっきも遊んだけどそれは二人紅露と母親が近くに居てくれたけど今はリビングに二人私と麗きり。


「れっ、麗。お姉ちゃんと遊ぼうか…」


ぎこちなく呼んだら麗は気付いて笑顔でハイハイで私の所に来てくれた。


「麗、何して遊ぼうか」


赤ちゃんと二人きりなんて中々無い経験をさせてもらって嬉しいけど怪我させたら大変だから麗をその場に座らせた。


麗の目線に顔を持ってくると麗の手が私の口を頬を触り笑ってる。


「麗、イテテっ…」


私の髪の毛を、引っ張って笑ってる。


「もぉ、意地悪ね。麗ったら」


それでも癒される…。


「これからもよろしくね」


麗ちゃんにこれからもの気持ちを込めて挨拶した。

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