6・見知らぬ仲ではなくなりました

第6話

ちゃんと触れ合いたかったのに女性お母様に怪しまれた。


〔霞?今日アンタ変よ?熱あるの?〕


私のおでこに手を当てられビックリして声が出なかった。


この行為やられるの二回目です。


流行っているのですか?


〔熱はないみたいね〕

〔おばさん。霞、令嬢ゲームしてんだよ〕

〔令嬢ゲーム?霞がっ?無理よ〜〕

〔無理かどうかはやってみないと分からないと思います〕


無理と言われてつい口を滑らしてしまったら女性は驚いた顔をした。


〔おばさん、ご馳走様!霞、部屋行くよ〕

〔失礼します。お料理美味しかったです〕


…と紅露さんが令嬢ゲームって言ってくれたから何とか誤魔化せた?


「リリナーア、本当に公爵令嬢なんだね。言葉遣い、態度が綺麗だもんね」


背筋を伸ばして床に座っている私を見て紅露さんが言うから私は髪の毛を耳に引っ掛けて答える。


「私はロイアン殿下の為だけに生きて来たのですから」

「リリナーアが言ってるロイアン殿下ってどんな人物?」


ロイアン殿下…私は王太子妃候補。


紅露さんが聞いて来たから思い出しながら答えて行く。


「ロイアン殿下は鼻がシュッとしていて金髪の長髪で縛ってます。小顔で目は切れ目で身長は高い方だと思います」

「ねぇ、俺は?俺はリリナーアから見てどういう風に見えてる?」

「えっ?」


紅露さんは私から見てどう見えるか?


「紅露さんは…黒髪で短髪で小顔で目は切れ目で…」


待って…ロイアン殿下に似てる…?


でも、こんな偶然ある訳ない。


「…俺、ロイアン殿下と似てる?」


紅露さんに図星を突かれてドキッとしてしてしまったけど冷静に答える。


「似てます。でも…」

「でも、何?」

「ロイアン殿下はロイアン殿下。紅露さんは紅露さんです」


いくら似てると言っても二人とも別人。


「そう言ってくれて安心したよ。ロイアン殿下になって下さいって言われたらどうしょうか悩んだよ」


苦笑いしながらそう言ったから私は慌てて付け加えた。


「そんな事言いません!ここまで見知らぬ私に優しくして下さってる紅露さんに…」


俯いたら頭をポンッと優しく撫でてくれたから頭を上げた。


「見知らぬ仲じゃないでしょ。俺達自己紹介したよ?」

「…そうでしたね」


紅露さんの優しい言葉に救われる。


「お互い自己紹介したから見知らぬ仲ではなくなった」

「はい」

「リリナーアがどうして霞になってるかだよね…」

「…はい…」


それが一番知りたい。


私はどうして霞さんになっているのか。


殿下と結ばれる日を台無しにしてくれて〜腹が立つ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る