5・無知って怖いね

第5話

「パジャマ」と言われた物を脱ごうとしたけど脱ぎ方が分からなく今困ってる最中。


「…紅露さん」

「どうした?リリナーア」


着替える為に部屋から出て行ってくれた紅露さんに助けを求める。


すぐ私が紅露さんを呼べる様に扉は少し開いてる。


「…脱ぎ方が分からないのですけど…」

「ごほっごほっ」


扉の向こうで咽せてる紅露さん。


変な質問してるのは承知してますが本当に困ってます…


「…部屋に入っていいか?」

「はい」


紅露さんは顔を逸らして入って来た。


「極力見ない様にするけど見たらゴメン」

「大丈夫です。綺麗なレースを羽織っているので」

「?」


私の言葉に顔を私に向けて固まった。


「とても綺麗なレースドレスですわ」

「…うっ…うん」


所々に細かい刺繍がしてあってクルッと一周回りたくなる可愛さ。


それに反して耳まで真っ赤にしてる紅露さん。


私はこれが下着…ベビードールと言うのを知らなかった。


「とりあえず、これ着よう!」

「これですか?」


慌てた紅露さんに渡されて頭から被る事を知り両手を出す。


下は足を通して履いた。


「これで大丈夫ですか?」

「うん!大丈夫…。俺の心臓もこれで平気。今日リリナーアが会うのはお母さんと妹だけだから」

「はい」


誰かに会うのは怖い。


「朝食食べよう」

「はい」


紅露さんと階段を降りて行く。


「緊張します」

「ご飯食べたら直ぐ部屋に行くよ」

「はい。」


ロイアン殿下と二人こうして階段を降りた時を思い出していた。


紅露さんに案内された部屋はテーブルに朝食らしき物が並んでいた。


「霞、早く食べちゃいなさい」


先程の女性は忙しそうにお皿を洗っていた。


「!!」


私を驚かせたのは隣の部屋にあった四角い箱に次々と人が消えては動いていて喋っていた。


〈とりあえず後で説明するから朝食食べよう〉

〈…はいっ〉


紅露さんに促されて椅子に座りテーブルにある朝食を見るけど見た事無い物ばかり。


〈リリナーア、ここは日本だから箸を使うんだけど多分…無理だね〉


そう言われて素直に頷く。


箸なんて聞き慣れない言葉に私は本当に知らない国にいると感じる。


〈リリナーア、フォークとナイフ〉

〈ありがとうございます。紅露さん〉


女性が見てない隙にフォークとナイフで急いで食べ物を口に運ぶ。


「霞、は遊んでる?」

「??」

「遊んでるよ、おばさん」


朝食の後紅露さんに教えてもらったのだけども、とは、生後七ヶ月の私の妹。


妹って言ってましたけどこんな小さい妹なんですね。


溺愛していた私だったみたい。

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