礼竜の章 1,乳母兄妹

第81話

礼竜の章

   1,乳母兄弟



 雪道に差し掛かる頃に、迎えの近衛騎士団と合流した。


「お久しぶりです!

 礼竜らいりょう殿下!」

 にこやかに礼竜を御名で呼んだのは茶色い短髪を一部編み込んだ若い騎士だ。


 だが、彼の服装は通常の近衛騎士のものではない。

「無事昇進したって聞いてたけど……本当だったんだ!

 20歳と青の一、おめでとう!」

 笑顔を返した礼竜は、手を引いてきた雪鈴を引き合わせ、

「紹介するよ。


 従姉のリデの騎士で、イオル……ライオル」

「ライオル・メドメスです!

 よろしくお願いいたします! 雪鈴妃!」


 元気な声にぽかんとしていると、

「いや~、王族の方々より先にお会いできるなんて!

 役得しちゃいました!


 礼竜殿下の傷に触っていいんですって? どうなってるのか、神学者も是非に見せてほしいって大騒ぎなんですよ~!」


「ごめん……ええと、いつもこうだから……」

 申し訳なさそうに言う礼竜の声を掻き消し、ライオルと名乗った騎士の調子づいた喋りが続いていた。



◆◇◆◇◆

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