第75話

 いきなり目の前に現れた【禍々しい何か】に魔力で牽制をかけ、注意を引く。


「お祖父様!

 雪鈴をお願いします!」


 叫び、雪鈴たちと【その何か】の間に入る。

 ――と。


【エリシア……エリシア!】

 狂気に走った赤い【眼】がファムータルを視界に入れる。

【エリシア……やはりここにいた……】


 思わず放ちかけていた魔力攻勢を緩め、相手を観察する。


 【呪い】であることは間違いない。

 だが、これはまさか……


「そのまさかだ」

 雪鈴を護る結界を強くしながら祖父が言う。


「此奴がお前たち兄弟の――父親だ。

 狂ったな……」

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