第61話

 雪鈴と食べるぶんと、挨拶回りの分の、大量の菓子が出来上がっていく。

 横で挨拶回り用の菓子を詰めているメリナに、ファムータルは、


「ねえ、メリナ。

 雪鈴付きの侍女を君に頼みたいんだけど、いいかな?」

「私が……ですか?」

「うん。この邸の侍女で一番信じられるから」


 名前までは伝わっていないが、雪鈴が丁鳩邸の侍女にいびり出されたと聞いていたメリナは、逡巡した後、

「分かりました! この栄誉、喜んでお受けいたします!」

「ありがとう!

 君なら僕も安心だよ。侍女長には僕から言うから」


 明日はどこへ挨拶に行くつもりなのか、菓子の量はまだ増えていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る