第55話

 夏の終わりの森は、昼間だというのに影になって暗く、道もすぐになくなってしまった。


 だが――戻るわけにはいかない。自分は多くをもらいすぎた。


 夜になれば、獣の食事になって一生を終えるのだろうか?


 簡単な靴しか履いていなかったため、もう壊れて脱いでしまった。

 気を付けていても、突起や植物の欠片が刺さる。


 早めに決着をつけたほうがいいだろう。ファムータルが探しに来たら……


 そんなことを考えながら、森の奥へ奥へと進んでいった。

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