第27話
彼は、魔国王家の分家筋で呪王に管理されていた。
彼の母は例によって呪いで死に、腹違いの弟が多分数人いた。
ある日、呪王は忌女エリシアと結婚した。
そうして始まったのが、呪王が苦しい避妊措置を受けずに、なおかつ忌女を妊娠させない方法の研究だった。
例えば、卵巣や子宮を焼いた女ではどうか。妊娠中の女ではどうか。
様々な女に愛情も何もなく種付けさせられた。
研究は一向に成果がなく、やがて呪王は死んだ。
それでも研究は続けられた。
だがある日――あの忌女の息子がエルベットから派遣されてこの魔国の王族として統治に来ると聞いた。
呪い殺してやろうと向かった騎士前広場で、異母兄の後ろに隠れるようにしていた5歳の王子――いや、姫。
その姫を見たその瞬間、彼の世界は変わった。
あの姫――忌女に全く似ていない、清らかな花に近づくため、まずは呪王が残した研究に携わった者――父や弟たちも――を全て消し、何食わぬ顔で身分を偽り、【呪いに詳しい魔国の医者】になった。
そうして姫が成長しないよう、特製の薬草茶で二次性徴を抑え込み、医師の役得に甘んじた。
だが――姫は、忌娘を連れてきてしまった。
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