第64話

千尋を安心させるためにそう言ったものの、俺はどうすればいい?って話で。

奈都とヒカルは巻き込めない。巻き込みたくない。親も親で信用できないから、千尋の話なんてできない。


誰に聞く?

誰が教えてくれる?




そのことと、ケンカをしてしまったヒカルのことと、2つを考えながら夜を過ごした。眠れなかった。

千尋は泣き疲れたのか、小さく包まりながら眠りについていて……。

横で女が寝ているっていうのは、人生初めてだった。

寝顔を見ても性欲というか、ちっともわかない。さわりたいとすら思わない。




「…やっぱ子供に欲情って異常だよな…」




解決するなら早い方がいい。

だけど守ると言っても、なかなかアイデアが浮かばない。



ううん、一つだけある。

ヒカルのことも、千尋のことも聞ける唯一の相手がいることはいる。


けど自分が嫌だから必死に他の考えを探そうとしているだけ。



あいつなら、ヒカルの事も分かってる。


あいつなら──異常性癖の事をよく知ってる。





けど、



けど、




けど。




──ルイに頼るのは、どうしてもイヤだ。




声すら聞きたくないのに。



このままじゃ千尋がもたない。


だけどもう頼れるのがあいつしかいない。








自分の心を壊すか、千尋を救うか。


どちらかの選択。


何度考えても答えは出なかった。




けど──……





千尋の折れそうな細い肩を見て、守らないとと思った。



ヒカルみたいに、──首を絞められたとしても。







俺にしか、できないことだから。

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